空調設備施工図とは?
空調設備施工図とは施工図の一種で、空調(空気調和)機器設備の設計・施工に必要な図面です。
施工図とは現場で施工を進めるための図面で、細かな寸法・取りあいの正確性が求められます。
設計図との違い
施工図はあくまで施工の現場で求められるものです。施工図を描くためには設計図が必要です。
設計図というのは主に建築設計事務所の建築士が描き、仕上がりのイメージを落とし込んだものです。
ただ、設計図があったからといって工事は進みません。工事を進めるためには施工図に落とし込む必要があります。
竣工図との違い
施工が終わり、竣工した際に作る図面が竣工図です。なぜ竣工図が必要かというと、施工が進む中で元の設計図が変わっていくためです。元の設計図と実際が異なるため、修繕やリフォームなどに備えて、竣工後に最終的な出来上がりを図面に落とし込んでおく必要があります。
施工図に求められる正確さ
設備図面においては取りあい(納まり)が重要となってきます。設備配管と照明などの電気設備との兼ね合いなど、天井の取りあいは複雑です。経験を積まないと難しいところはありますが、事前に集められる情報をすべて集めておきたいものです。
ちなみに取りあいとは現場での用語で、部材と部材の接続部分の納め方、調整方法を指します。
現場では設計通りに機器や部材が納まらないことも日常茶飯事です。
施工図が完璧であっても机上での設計であることには違いありません。現場では臨機応変に対応していくことも求められます。
施工図を引くときの意外な盲点
特に空調設備施工図を描くときに、注意しなければならないことがあります。
それは「配管化粧カバー」内部の配管の収まりです。
空調設備施工図を描くときは設備CADで図面を描くことが一般的ですが、設備CADはあくまで空調機の配置や配管の経路図を描くためのもの。「配管化粧カバー」の内部に配管がどのぐらい収まるかまでは正確には分かりません。
「配管化粧カバー」に収まる配管の数が施工図にどう関係があるの?と思うかもしれませんが、実は大きな落とし穴があります。
「配管化粧カバー」内部の配管径や数量を安易に計算して配管経路を作図してしまうと、本来必要なサイズより小さな「配管化粧カバー」を発注してしまいかねません。そのため配管が収まらずもっと大きなサイズを追加発注・・・という事態になってしまうことも。
さらに、もっと大きなサイズの「配管化粧カバー」を注文することで、当初想定していた配管経路では幅の取り回しの関係で施工ができず、図面を最初から見直さなければならない・・・という最悪の事態も考えられます。
費用もかさむ上に工期が延長され、施主にも大きな迷惑がかかってしまいます。
図面を描くときは、こうした細かい部分にも注意が必要です。
最近では、メーカーによっては配管選定ソフトを公開し、配管の収まりを事前に確認できるようになっていますので、設備図面を描くときはこうしたものを利用すると良いかもしれません。