ダクト空調で課題となるのが、吹出口の結露です。
結露を防ぐには、どのような吹出口を選べばよいのでしょうか。
吹出口の結露とは
吹出口は、空調した空気を室内全体に送りますが、このときに周囲の空気を誘引する(吸い込む)ことになります。この吸い込んだ空気が結露の原因になるのです。
吹出口の種類によって、吹き出した空気の流れる方向や、周囲の空気を誘引する特性は異なるため、設置場所に適した吹出口を選ぶことが重要です。
吹出口の種類
『公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)』(令和4年版)では、次の5つのタイプに分類されます。
- シーリングディフューザー形
- ユニバーサル形
- ノズル形
- 線状形
- 床吹出口
タイプごとに特性が異なるため、まずはその特性を確認しましょう。
シーリングディフューザー形
天井に取り付ける吹出口としてよく使われています。中にあるコーンを上下することで気流の拡散方向を変更できます。また、ダンパーを使用することで風量調整が可能です。
例:
ユニバーサル形
前面・後面にセットされた風量調整羽により気流の方向を調節できる吹出口です。シャッター付きで風量の調整も可能です。
例:
ノズル形
風を遠くまで届けられ、比較的騒音も発生しにくいため、劇場・ホール・体育館など大空間の天井面やロビーの壁面に取り付けられます。
ノズル形の一種である「パンカールーバー」は、油煙や水蒸気に強いため、厨房や工場などで使われます。吹出方向を上下左右、自在に変更でき、ダンパーにより風量調整も可能です。
例:
線状形
細長い吹出形状により帯状の気流が得られるため、ペリメータ部分やエアカーテンとして使用されることが多いのが線状形です。
また、可動羽根で気流の方向を調節できます。「ライン形」とも呼ばれます。
例:
床吹出口
フリーアクセスフロア(床下に電気や通信の配線、空調機器などを収納できるフロア)で使われます。
風量を調整でき、ゴミ受け機能もあります。
吹出口のタイプ別性能
オーケー器材製の吹出口は、形状以外にも性能別に合わせて「無結露タイプ」「防露タイプ」「汎用タイプ」の 3つに分類されています。
- 無結露タイプ:シーリングディフューザー形
- 防露タイプ・汎用タイプ:ユニバーサル形、ノズル形、線状形
標準仕様書の分類 |
オーケー器材の分類 |
タイプごとの違い |
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---|---|---|---|
シーリングディフューザー形 |
無結露タイプ |
設置場所 |
飲食店、事務所、ビルの入口、厨房室など、外気の侵入の多い場所 |
条件 |
吹出空気温度10℃で室内空気状態が乾球温度30℃、湿球28℃(相対湿度86%)以下であること
|
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アルミ |
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ユニバーサル形・ノズル形・線状形 |
防露タイプ |
設置場所 |
飲食店、事務所、ビルの入口など、外気の侵入の多い場所 |
条件 |
室内空気状態が乾球温度27℃、湿球温度24℃(相対湿度78%)以下であること |
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樹脂 |
|||
汎用タイプ |
設置場所 |
事務所の2階以上の、外気の侵入のない場所 |
|
条件 |
室内空気状態が乾球温度27℃、湿球温度20℃(相対湿度52%)以下であること |
||
主にアルミ |
設置場所に合った吹出口の選択を
まずは、施工場所がどのようなところなのか(外気の侵入が多いのか少ないのか)を確認しましょう。
外気の侵入が多いのであれば、施工可能な形状の中で、より適したタイプを絞り込んでいくことになります。
例:飲食店には
お店の入口など外気の侵入が多い場所であれば、最も結露しにくい「無結露タイプ 」がおすすめです。
外気の侵入が多くない場合でも、調理場では常にお湯を沸かすなどして全体的に湿度が高くなりがちなため、「防露タイプ」をおすすめします。
例:事務所には
入口付近は外気温の影響を多く受けるため、「防露タイプ」がおすすめです。
2階以上であれば、外気の侵入の影響を受けにくいため「汎用タイプ」が使用されることもあります。
ただ、新型コロナ感染の問題から、オフィスであってもこまめに換気することが増えているかと思います。そういった場合は「防露タイプ」を選んでおくと安心でしょう。
詳しくはダクト関連部材技術ガイドをご覧ください。
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